前回、撥水コーティング剤やらなんやらを
おすすめしたのですが、せっかくなので(?)撥水について深掘りしてみます。
皆さんも車以外に、靴に撥水スプレーを噴いたり、
撥水加工の上着を着たりと撥水にはお世話になって
いるのではないかと。
撥水とは
撥水とはズバリ「水を弾く」現象のことです。
ってそんなの知っとるわ!って感じですよね。
似たような言葉で「防水」「耐水」などがありますね。
防水…完全に水を通さないこと
耐水…ある程度水を通さないこと
という感じです。
IPX〇って規格を見たことがあると思います。〇に
0~8の数字が入るんですが、これが耐水性・防水性の規格です。
防水と違って、撥水・耐水は水の量が多い場合や、
水圧が高い場合は浸水する可能性があります。
ざっくり防水>耐水>撥水という感じですかね。
撥水の仕組み
さて、次は撥水の仕組みを説明していくのですが、
化学を勉強しなければならないようです。
僕、生物と物理は得意だったんですが、化学は苦手だったんですよねぇ。
分子間力(表面張力)とは
知っておかなければならないのが分子間力という
ものなんですが、物凄くざっっっくりと説明していきます。
分子間力とは分子と分子の間に働く力です。
表面張力とも言います。
水分子を例として
例えば、水分子は酸素原子1つと水素原子2つで構成されます。
黒い棒が原子と原子の間に働く力(共有結合)。
分子というのは電気的に中性
(極性すなわち+、-が無い)というイメージ。
なのですが、実際は電荷に偏りが生じ、
極性(+だったり-だったり)を持ってしまうみたい。
それにより分子同士で引かれ合う力が生まれる。
これが分子間力。
(黄色の棒が水分子と水分子の間に働く力(分子間力))。
水分子は特に分子間力が強いため、
丸い球体になりやすいらしい。
中心にギュッとなるイメージ。おにぎり握るみたいな。
分子間力と撥水
そして、水がある物体(固体)表面に付着した場合、
水分子がその物体を構成する分子の分子間力の影響を受ける。
水の分子間力<固体の分子間力 の場合
水は固体の分子間力に負け崩壊し、固体表面に濡れ広がる。
これはいわゆる親水ですかね。
水の分子間力>固体の分子間力 の場合
水は自身の分子間力により内側に引っ張られ球状になる。
これが撥水。
つまり、液体の分子間力が固体の分子間力よりも
大きい場合に撥水するわけ。
撥水の仕組み まとめ
- 撥水の仕組みは分子間力によるもの
- 撥水するかどうかは、液体と固体、
お互いの分子間力の強さ関係による
ってことみたいです。
ガラコの仕組み
ちなみに、僕が前回おすすめしたガラコについてなんですが。
ソフト99さん曰く、実は車のガラスというのは
表面がボコボコになっているそう。
「雨の時はそこに雨滴がひっかかって光が乱反射するため視界が悪くなる」らしい。
「ガラコはそのデコボコを埋めて表面をツルツルの
真っ平らにする。だから雨粒がつぶれずコロコロの
水玉になって、走行風ですっ飛んでいき視界がスッキリ良好」
とのこと。
実際は「デコボコを埋めて真っ平らにする」と
「分子間力で撥水」の両方をやっているのではないかと思われます。
「ぬりぬりガラコ DX」のHPを見ると、
シリコーンが主要成分って書いてあったし。
水の分子間力はシリコーンの分子間力よりも大きいみたいですし。
ちなみにシリコーンとシリコンは別モノらしい。知らなかった…。
超撥水について
さて、最後にここで触れた超撥水についてもお話しておこうかと。
超撥水とは高度に撥水する状態のことで一般的には
液体と固体表面との接触角が150°を超えた状態のこと。
基本的に水滴が付着しません。すごいですよ。
あ、接触角を説明してなかったですね。
接触角とは
接触角ってのは、静止状態での液体の端での接線の角度のこと。
ややこしいんですが、
この角度のことです。
ちなみに一般的に90度以上が撥水らしい。
超撥水の仕組み
超撥水の構造としてはロータス効果が有名で、
蓮(ハス)=ロータス(lotus)の葉が高い
撥水性を持っていることに由来するそうな。
蓮の葉の表面には5~15μm
(μm=1000分の1mm!)の細かい毛が付いていて、
この毛が撥水性を持つことで超撥水性になるらしい。
同様の構造を再現したのが超撥水コーティングなん
ですが、なにぶん繊細な構造なので、
やはり耐久性を持たせるのが難しいみたいですねぇ。
とうことでどなたか、耐久性のある
超撥水コーティングを開発してください。
僕のお気に入りの写真コーナー
水滴君、かわいいねぇ。これは…撥水かな?
皆さんも水滴を見つけたら、
ぜひ接触角を目測してみてください。
まあしないでしょうけど。
コメント